小山英樹のみらい教育LABO 記事アーカイブ
小山 英樹
しゃべる人①
「小山さんの話はゆっくりで聴きやすい」とか「落ち着いて聴ける」とか言っていただくことがあります。うれしいです。
そしてその反面、「がんばってスピードを上げているつもりなのに、やっぱりゆっくりなんだなぁ。もっと早口でいっぱい話せたらいいのに・・・」とも思います。
口が遅いこと、言葉がなかなか出てこないことは、私のコンプレックスでもあるのです。何を説明するにしても言葉が不足しがちです。「長く話すのは良くない」という信じ込みも持っていますので、結果として説明が不十分になる。考えて話すのが面倒くさくなったりもします。
私は、よくしゃべる人をかっこいいと思います。特に早口でたくさん話す人。
その人は普通にしゃべっているだけなのでしょうが、私はひそかに「よくそれだけしゃべれるなぁ」と感心していることもしばしば。次から次へと言葉が出てくる・・・そういう人の脳は、おそらく私の脳の3倍から10倍ぐらいのスピードで回転しているんだと思います。尊敬しますし、憧れます。
でも時々、気になることも。
子ども「お母さん、来週から体育でプールが始まるんだよね」
母親「あら、そうなの?じゃあ水泳パンツを出しとかなきゃね。でももう小さくなっちゃったか。お兄ちゃんのが履けるはずだと思うんだけど、けっこうくたびれてるからイヤでしょ?どうする?買う?それともお兄ちゃんの履いてみる?」
子ども「どっちでもいい」
母親「どっちでもいいって・・・どうするのよ。お兄ちゃんのを履いてもいいの?みんな新しいのを買ってもらうんじゃないの? 2,000円ぐらいでしょ、買えば?明日にでも学校の帰りに買ってきなさいよ、山田スポーツで、会員カードがあるから忘れずに持って行ってね」
子ども「いいったら!」
この子、実は「今年の夏は50m泳げるようになりたい」という話をしたかったのです。
よくしゃべる人は、相手の言いたいことを瞬時に理解して(理解したつもりになって)、答えが浮かんで口から出る。それをしゃべっているうちに他の関連事項にも意識がおよび、それから次々と言葉になって口から出てくる。結果として、こんなズレが生じたり、相手の意欲を削いだりすることもあるのです。
続く。