小山英樹のみらい教育LABO 記事アーカイブ
小山 英樹
家庭の文化が問われている①
全国各地の学校がようやく夏休みに入ったでしょうか、それともまだ1学期が続いている学校があるのでしょうか。程度の差こそあれ大多数の学校で短縮となった夏休み。しかも、さぁ海外旅行だ、さぁディズニーランドだ、さぁ海水浴だ・・・というわけにはいかない。花火大会も無い、夏祭りや盆踊りも無い、スポーツの大会やコンサートも無い。子どもたちはどうとらえて、どう毎日を過ごしているのかな?
新型コロナウイルスは、人々に様々なことを問いかけていると私は思っています。「それって本当に必要なの?」「それって本当にベストなやり方なの?」「何を目的に、何を大切にして生きているの?」等々。
そんな問いの中に、「家庭の文化はどう?」という問いがあるように思います。
子どもたちは各家庭に生まれたのち、保幼園や学校、地域社会、そして市場経済の上に成立する商業活動のサポートを受けながら生活し、成長していきます。それが「あたりまえ」です。
新型コロナは、子どもたちから学校生活の一部を奪い、地域社会や商業活動との関係を寸断しました。もちろんゼロになったわけではありませんが、家庭外との関わりは大幅に制限されてしまった。子どもたちの身体とマインドが、好むと好まざるとにかかわらず「家庭に戻った」と言えるのではないでしょうか。
そこで問われるのが「家庭の文化」。子どもの心身の成長を学校・社会に任せがちで、家族の力で家庭を育む文化、家族の力で子どもを育む文化を持たないご家庭ほど、戸惑いや不安、混乱が大きい状況ではないかと思うのです。
「子どもが家にいるので働きに出られない」とか「経済的に苦しくて、子どもに遊具も機会も提供してやれない」という状況を指しているのではありません。もっと精神的な領域です。たとえば、
①遊園地も映画館もプールもダメとなると、連れて行くところが思い当たらない。
②ゲームとテレビ以外に子どもにはすることがない。代わりに奨めるものが思い当たらない。
③子どもとどう接していいか、どんな会話をしていいか分からない。
といった状況。
「文化」とは、人が社会の構成員として持つ生活様式全体のこと。各家庭にも固有の文化があります。
上記①~③のような状況になっているとすれば、その家庭の文化は、
①「外出=商業レジャー施設を利用する」という文化であり、自然を楽しむ、散歩をする、ドライブをする、スポーツする、芸術を鑑賞するといった文化ではない。
②「家庭で子どもがやること=ゲーム・テレビ」という文化であり、読書する、絵を描く、楽器を演奏する、体を鍛える、将棋・囲碁・アナログゲームをする、モノ作りをするといった文化ではない。
③「必要な情報交換以外の親子の会話はあまりしない」という文化であり、雑談する、将来を話し合う、自分のことを話す、思い出を分かち合う、ニュースや流行について議論するという文化ではない。
ということです。
続く。