小山英樹のみらい教育LABO 記事アーカイブ

小山 英樹

今ここが基点

長崎の、ある通信制高校の校長A先生から、こんな話を聴きました。
工業高校に通う高校3年生のB君。
進路面談で「東京に行って、乗り物関係の仕事をしたい。鉄道関係の企業を目指したい」と担任に申し出ました。ところが担任はこう即答したそうです。「無理だ。うちの学校から東京の企業に就職した実績が無い。そもそも機械科ならともかく君は電気科だ。鉄道関係なんて無理。県内の機械関係の会社を目指しなさい」
B君はばっさりと夢を断ち切られ、ショックから学校に行けなくなります。
そして数か月後、親御さんの知人の紹介で、この通信制高校のA校長に巡り合うのです。
「チャレンジしてみればよか、応援すっけん。今ここが基点。道ば探そう!」とA校長は伝えたそうです。「でも、もうほとんどの企業は採用を終える時期やけん、ちょっと急がんば」
翌日、B君からA校長あてに電話が入ります。
B君「先生、ハローワークに来ました。○○電鉄の求人を見つけて応募したいんですが、高校を通さないとダメだと言われました。高校に連絡していただけませんか?」
A校長「すごい行動力だね。分かった。とにかく一度学校に戻ってこんね。ハローワークにいるなら歩いて20分で来られるだろ?」
B君「無理です」
A校長「なんで?」
B君「だって・・・いま、東京のハローワークに来てるんです」
A校長は、すぐにB君の在籍する工業高校に連絡して事情を伝えました。高校の先生は、慌てて東京の〇〇電鉄に連絡を入れます。「貴社を志望しているうちの生徒が、なんの手続きも踏まずに直接東京に行ってしまったのです」
続く。