小山英樹のみらい教育LABO 記事アーカイブ
小山 英樹教育コミュニケーション
「許しが未来を創る」①
ウサギとカメの競走、ご存知ですね。
うっかり油断したばかりにカメさんに敗れたウサギさん。その後どうなったのでしょう?
続きを考えてみましょう・
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①シロウサギの物語
シロウサギは、カメに負けたことを大いに反省しました。油断した自分が許せませんでした。それ以来、かけっこをするときはもちろん、野球をするときも、勉強するときも、食事をするときも、自分に「油断なく、油断なく」と言い聞かせました。
学校でネズミ先生に「シロウサギはいつも油断が無いね。立派だよ」とほめられました。一瞬喜んだシロウサギでしたが、「おっと、油断しかけたぜ。カメとの競走の二の舞になるところだった。先生のおだてに乗っちゃいけない。」。シロウサギは先生を疑うようになりました。「たまには息抜きも必要だよ」という先生のアドバイスを聞かず油断なく勉強を続けた結果、熱を出してしまいました。
これは油断でした。シロウサギは反省し、自分を責めました。
サッカーの試合がありました。油断なく守るシロウサギは、ボールが来ると脱兎のごとく飛びついてクリアします。「たまには攻撃しろよ」とキャンプテンのイタチに言われますが、攻撃なんてしたら油断が生まれてしまいます。あんのじょう、逆サイドを守るキツネがカウンター攻撃に出ようとして敵にボールを奪われ、得点を許してしまいました。
シロウサギはキツネをどうしても許せず、責め立てます。「油断するヤツはバカだ!ぼくは二度と失敗したくないんだ。油断するな!」と。キツネは反論できず、泣き出します。
チームはそのまま負けてしまいました。
試合後、イタチさんがこう断じました。「キツネさんをどうしても許せないんなら、シロウサギさんがチームを出て行ってくれ」。
う~ん、これまた油断でした。シロウサギは反省し、自分を責めました。
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心から反省し、自分の失敗を許さないシロウサギさんは、二度と失敗することのないように、自分に厳しい見張りを立てました。自由さの無い生活になりストレスが蓄積しますね。
その厳しさが他者に対して向けられ、チームメイトとの関係をおかしくしてしまいました。
「失敗したら反省すべき」「反省なくして成長はない」・・・これが世の中の信じ込み(ビリーフ)です。
でも実は、反省は過去にアンカーを打ち込む作業。自由な未来に向かわないように、自分を過去の失敗につなぎとめることでもあるのです。
だから、いつまでたっても、本当に行きたい未来に行きつけない。
シロウサギさんは「失敗しない人生」は得られても、「幸福な人生」に至るかどうか・・・。
続く。