小山英樹のみらい教育LABO 記事アーカイブ
小山 英樹教育コミュニケーション
何を求めての行動か②
火曜日の続きです。
「家に居場所が無いと感じる」ことと「タバコを吸う」こと。一般的に考えれば「いったい何の関係があるんだ」「こじつけだろう」なんて声も聞こえてきそうですね。Aさん自身もびっくり、そして半信半疑でした。
でも、それからタバコが減り、娘さんの誕生日から禁煙に成功したのです。家のベランダで吸わないだけでなく、すっかりタバコを吸わなくなった。「『禁煙』というより、吸いたくなくなったんです」とのこと。
ここにも大事なヒントがあります。
「タバコをやめよう、タバコを止めなきゃ」ではなく、「家族と話す」、そのことで「居場所を得る」「落ち着きや安心感を得る」というまさに「肯定的欲求」を大切にしたのです。
行動の根っこにある欲求を別の方法で満たせれば、行動は変わる。変わるというより、完了して別の行動が起こる。それを非常に分かり易く実証してくれた事例です。
ただ、Aさんのような変化が簡単に起こるわけではありません。
その理由はいくつかあります。
①「人間のすべての行動は、肯定的欲求によって起こる」という認識が無い。
②自分の行動の要因となっている肯定的欲求がつかみにくい。
③自分の行動を変えることに抵抗がある(欲求が満たされなくなる恐れ、行動を変える億劫さ)
④「この行動を変えることは無理だ」と信じ込んでいる。
ですから、メンターの存在が重要になるのです。
行動を否定することなく、相手を丸ごと認め、
「その行動で何を得ているの?」「根っこにどんな欲求があるの?」「その欲求を満たす方法が他にあるとれば何?」「それをやってみたらどうなりそう?」
といった質問をする。
「きっとできる!うまくいく!」「応援しているよ!楽しみだ」と背中を押す。
ギャンブルがやめられない、物を拾い集めてきてゴミ屋敷にしてしまう、万引きをしてしまう・・・疾病の診断を受けるラインを超える超えないに関わらず、心身の欲求を満たすために人は行動を続けるのです。
ゲームやLINEがやめられない子ども、約束を破ってしまう子ども、意地悪をする子どもなども同じ。
そこにある欲求を満たす別の方法が獲得できれば、ウソのように完了し、別の行動が始まります。
続く。